糸子:「みんな早よしなれよ。竹谷さんのバンに乗り遅れたら次の便まで一週間待たんならんでぇ」
正典:「定期便みたいに言うな」
正典:「(喜代美に対して)帰んど」
喜代美:「え?」
正典:「お父ちゃんが甘かった。やっぱりお前みたいな子供を一人で大阪へやるべきやなかった」
喜代美:「お父ちゃん!」
正典:「大事に育てた娘が落語家にやなんて、冗談やないぞぃ」
小次郎:「そりゃあないで。兄ちゃん」
正典:「何が!」
小次郎:「落語家のうちに住むのは黙認しとったやろなぁ」
正典:「それとこれとは別や!」
小次郎:「一緒やがなぁ。色もんと白いもんと何で分けて洗うのやなぁ。色移りするのが嫌やからやろなぁ。それが嫌やったら最初から一緒にすんなやなぁ。」
正典:「洗濯物と一緒にすな!」
● 前振りゼロで飛び出した娘の言葉に、母としてやっぱり理由を聞いてしまう糸子。そこにバッサリと切り込む小梅も見事ながら、正典との間で逆ジェネレーションギャップが発生しているように見えるのは気のせいか。ちなみに、この年('92年)に最も売れたCDシングルが、米米CLUBの「君がいるだけで/愛してる」。
糸子:「なんでまた、そんな突拍子もないこと言い出したんや」
喜代美:「いや、何でって......。なんやいつの間にか落語好きになっとったしぃ」
小梅:「好きやから言うて、お祖母ちゃんいちいち"こめこめくらぶ"のメンバーにならへんで」
正典:「何の話や」
● 喜代美が落語に魅かれたことも、落語家になりたいと思ったことも全てさらりと語った正平。いい弟だ。でもそんな流れを正典が一刀両断。どうでもええ話にされてしまうとドラマが続かなくなってしまうわけだが。
喜代美:「(正平の言葉に)それ!それそれ。それそれ!」
小次郎:「ほうなんこ?」
喜代美:「あぁ〜、そういうことやったんかぁ......」
正典:「そんな話はどうでもええ!」
正典:「お前に任したワシがアホやった。すぐ連れ戻しに行くど」
糸子:「竹谷さんの定期便は来週やって」
正典:「電車乗って行くわ!」
● しかも単に帰ってこないだけならともかく、弟子入りできなかったのにそのまま大阪に残っていることに、やはり焦りを隠しきれない正典。その突っ込みはテレビドラマ板では正しいのだが、このサイト的に大正解なのはどう考えても正平。
正典:「断られたのに喜代美は何で戻ってこんのやぁ」
糸子:「そらぁ一遍断られたぐらいで諦められへんわな」
正典:「どねすんね」
糸子:「そらぁ〜、断られても断られても根性でぶつかって、時には雨の中、ずぶ濡れで座り込みとかしてぇ、ほんまに落語家になりたい!っていう熱い思いが伝わるまで頑張るんやな」
小次郎:「テレビドラマの見すぎや!」
正典:「それは持ち前の明るさと前向きさで突き進む女の子の場合やろが」
正平:「お父ちゃんも見すぎやぁ」
松江:「ほやろねぇ〜。ご主人、頑固な職人さんやもん。......奥さんには悪いけんど、うちあのご主人、ちょっと苦手やねんわぁ。鋭い目ぇしてウロウロしとる姿、塗り箸職人言うよりマタギみたいでしょうぉ〜。バッタリ会うたら熊と間違えて撃たれるんやないかともう恐ろしてぇ」
正典:「(店の前にやってきて)誰がマタギですか」
松江:「ひ、いや、ご主人。ご精が出ますねぇ。ほな奥さん、また(駆け足で帰る)」
糸子:「上手いこと言いなるわぁ」
正典:「マタギやないちゅうねん」
正典:「友春くん」
友春:「止めんといてください。やっと決心したんです」
正典:「いや。止める気は全くないんやけどな」