草若:「一人前の落語家になるかどうかは...、本人次第ですよって......」
糸子:「えっ...。そうなんですの?」
正典:「張り込まんかったらよかったみたいな顔をすな」
糸子:「しとらんわ」
● そして、蟹を買うために一家総出で頑張ったと、露骨にプレッシャーをかける糸子。どこまで本当かわからないのが糸子マジック、というより和田家マジック。
糸子:「喜代美、しっかり修行するんやで」
喜代美:「わかっとる」
糸子:「あの蟹を買うために、お父ちゃんは夜も寝んと塗箸作ってぇ、お祖母ちゃんは三味線のお稽古を掛け持ち、正平は冬休み返上で郵便局でアルバイト、小次郎さんは浜で拾ってきた貝殻に色つけて道端で売ってぇ、お母ちゃんはそのサクラ」
正典:「金の話をしなんな」
小草若:「返しましょか?」
正典:「ああ。ええさけぇ、食べてください」
糸子:「ほやけんど、これからもどんだけお金かかるかぁ...」
正典:「やめぇ、言うねん」
小次郎:「(喜代美の落語の稽古は)どんなことするんやろのぉ」
正典:「ははははは。お前も弟子入りしてきたらどうや?」
小次郎:「なんでど?」
正典:「内弟子の3年間は飯も部屋もタダらしいさけぇ、食い扶持が一人減る」
小次郎:「兄ちゃん......」
正平:「(小声で)お父ちゃん」
小次郎:「そらええのう!」
正平:「(横で正典がついていた肘を滑らす)おっちゃん!」
小次郎:「わしの隠れた才能は、落語かもしれんのう」
正典:「隠れすぎや」
小次郎:「今からでも遅ないんと違うか」
正典:「遅いっちゅぅねん!」
小次郎:「(感慨深く)いやあ」
糸子:「(落語会は)いつや?」
喜代美:「4月16日」
小次郎:「4月16日...」
正平:「(隣でカレンダーをめくりながら)...あ。平日や」
糸子:「これ、喜代美。平日やないな。みんなぁで観に行けんやな」
正典:「いやいやいや。わしらの都合で決めてるわけでは」